「今日のあなたには、このおかしを」。
お医者さんがそんなふうにおかしを“処方”してくれたら、ちょっとわくわくしませんか?
更年期外来や再生医療に携わってきた医師の伊沢博美先生が、いま注目しているのが「おかしがもたらすリラックス」。先生が活動されているクリニックで開催された、おかしを入口にした体験会に『FemCaree(フェムキャリ)』のメンバーが行ってきました。
おいしくて、ちょっと不思議で、思いのほか奥が深かったひとときのレポートです。
おかしは「我慢するもの」だと思っていたけど……
働く女性にとって、おかしはちょっと複雑な存在かもしれません。
疲れた午後に、つい手が伸びる。でも食べたあとに「またやっちゃった」と思う。健康のことを考えたら、本当は「食べなくてもいいもの」なのに……。
伊沢先生が構想する「おかしの処方」は、この前提をひっくり返すところから始まります。
おかしを、心の状態を整えるための道具として使う。
食べる前と後で、自分の気分やからだにどんな変化が起きるのかを観察して、「こうすると、楽になる」という感覚を自分でつかんでいく。
ゴールは、おかしで一時的に気分を上げることではありません。
自分が楽になれる状態を体験して、覚えて、必要なときに自分で再現できるようになること。
おかしは、その「きっかけのひとつ」という位置づけです。
将来的には、問診や血液検査で今のからだの状態を確かめたり、遺伝子検査で体質の傾向を知ったりしながら、「その人に合うおかし」を選ぶという構想もあるそう。
メンバーからは「自分のトリセツみたい」と興味津々の声が上がりました。
肌の状態や年齢による変化を「努力不足」だけでなく、体質という角度からも理解できる。そこに、ちょっと救われる感覚があるのかもしれません。
いざ、体験! はじまりは「幸せな気分」から
最初に出てきたのは、温かい飲み物とおかし。体験の入口でまず「幸せな気分」になってもらい、からだを温めながら始めたい。そんな意図で用意された“ウェルカムスイーツ”です。

▲テーブルに並んだはちみつ紅茶、鮮やかな黄色のサジーのドリンク、オレンジ色のクコの実(ゴジベリー)のドリンク。そして金平糖、ドライフルーツ、ナッツ、ほうじ茶味のチョコレート。
普段、あまり目にすることがない個性的なアイテムも。
さすがは、おかし大好きを自称する伊沢先生。
相棒の看護師・佐藤さんの目利きぶりも存分に発揮されています。
「からだにいいと言われても、おいしくなければ続かない」。
健康のために頑張ったり我慢したりするのではなく、まず「飲みたい」「食べたい」と思えるアイテムであること。ここ、意外と大事なポイントかもしれません。

少しずつ、ていねいに。「罪悪感」がほどけていく
ドライフルーツやナッツ、チョコレートを少しずつ味わっていると、量は少なくても「おかしを食べた」という満足感がちゃんと感じられました。
おかしを「食べなくてもいいもの」だと思っていたメンバーは、「ジャンクではないおかしをきちんと選べば、罪悪感の少ない楽しみ方ができる」ことに気づいたそう。
別のメンバーは、この感覚を「ていねいな暮らし」にたとえます。
からだによさそうなものを選んで、少しだけ楽しむ。――そう表現すると、面倒を厭わない、むしろ手間をかけることが好きな人だけの世界線という気がしますが、「ちょっとした知識とこうして教えてくれる目利きの方の存在があれば、実践できる人が増えるかも」という声もありました。
たとえば、午後3時のデスクでなんとなくつまむ袋菓子を、ナッツとドライフルーツひとつまみに替えてみる。それだけでも「食べちゃった……」が「選んで食べた♪」に変わりそうです。
自分の「ほっこり」を、視覚化する
体験のもうひとつの目玉が、脳波の計測です。
おでこに電極を当てるタイプの機器を着けて、おかしを味わう前後や休息の時間に、脳波がどう変化するかを見ていきます。
この日は、ウェルカムスイーツをいただいて少し緊張がほぐれたタイミングで別部屋へ。
伊沢先生ならではのケア(幹細胞培養上清液の吸入)を受け、しばし横になりながらリラックスタイムを過ごします。


このときの脳波をあとから見せてもらうと、アイマスクをしてホットストーンを手にしたあたりから、リラックスの方向へ数値が大きく動いていました。
「こんなに短い時間で変わるんだ」と驚くメンバーがいる一方で、「リラックス“しなきゃと意識してかえって緊張しちゃった」というメンバーも。
おかしの処方プログラムの開発はまだ始まったばかりですが、「私はこういうときにほっとするんだ」といった具合に自分をモニタリングする体験は、からだと向き合うきっかけづくりにも役立つと感じられました。

おかしは、人と人とをゆるめてつなげる
アフターで登場したのは、大人スイーツの万能選手・きな粉味のスイーツ。
独特のフォルムが手土産にも大人気の商品なそうです。
手を汚さずに食べられるので、オフィスでのおやつタイムにもぴったりですね。
体験の後半はすっかりお茶会のような雰囲気で、先生はじめ全員が打ち解け合って、いろいろな話題を共有し合いました。
「コロナ禍以降、職場でおいしいものを囲む機会が減ったよね」という話から、院内におかしをおくようになってから、それがスタッフ同士の会話のきっかけになっていたというエピソードも。
同じ場所で、雑談をしながら同じものを味わう。――そんな時間がいつの間にか少なくなってしまったいま、人と人をつなげてくれる効果を持つこともまた、おかしの大きな魅力かもしれません。
そこから話は、地元のお菓子の話題へ。

盛岡、一関、仙台、鹿児島。それぞれにゆかりのあるメンバーから、シーラカンスモナカ、萩の月、かもめの玉子、かるかん……と、ご当地銘菓の名前が次々に飛び出します。画面越しの打ち合わせでは、まず出てこない会話です。
おかしそのものが病気を治すわけではありません。
でも、誰かと会話しながら味わう時間や、ほっとする安心感、気分の切り替え。そういう体験そのものに価値がある。それをみんなで確かめ合うような時間になりました。
我慢するお菓子から、選ぶお菓子へ
忙しい毎日のなかで、自分をゆるめる方法をあなたはいくつ持っていますか?
伊沢先生の「おかしの処方」は、正解を一方的に渡すものではありません。
自分にとって心地よい状態を知り、そこへ戻るための手がかりを増やしていく、そんな試みだと感じました。
むしゃくしゃした会議のあとに選ぶ、ひとつぶのチョコレート。
同僚と分け合う、ちょっと変わった地方のおかし。
「これを食べると、私はほっとする」を知っているだけで、日々の過ごしやすさが変わってきます。
からだのゆらぎと向き合いながら働く私たちにとって、自分の整え方を知っていることは、小さなお守りになります。その知恵が職場にも広がっていけば、「おやつの時間」は人と人がやわらかくつながるための時間へと変わっていくかもしれません。
我慢するものから、選ぶものへ。
ひとりで食べるものから、誰かと味わうものへ。
今日のあなたは、どんなおかしを自分に処方しますか?

追伸:ちなみに伊沢先生からは、「おやつは1日200キロカロリー前後をひとつの目安に。でもカロリーばかり気にしすぎて、それ自体がストレスにならないように」と、バランス感覚あふれるアドバイスもいただきました。
【おかしの処方をもっと詳しく】
伊沢先生と看護師の佐藤さんの共著
『「おかし療法」というやさしい習慣』がKindle unlimitedでお楽しみいただけます。
ぜひご一読ください!

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